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バンドレビュー No.8 メロパワ界の重鎮「STRATVARIUS」後編

前回の続きで一瞬で終わります。


14th Nemesis 2013

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ストラトヴァリウスの本気がみられる最高傑作。前作、全前作のようなプログレッシブさ溢れる芸術性に加えて、破壊力や歌メロのインパクトが増し、メロディックパワーメタルの真髄を味わうことができる。実力派ドラマーのロルフが加入したことも影響しているのだろう。数年前に大きなメンバー交代を得て一時は首の皮一枚の状態だったストラトヴァリウスは前作前々作で新たな武器を手に入れ進化という名の大復活を遂げた。そして今回は吹っ切れたように、守りに入るのではなく、その武器を持つ本人たちが覚醒をし、攻めに攻めた作品を創った。若いメロパワバンドに全く引けを取らず王者でありつづけるストラトヴァリウスには脱帽する。日本盤、海外盤の両方に収録されている連続するボートラ群が少し邪魔に感じてしまうが、それらを含めても名盤と呼べる内容だろう。



1. Abandon


2. Unbreakable


3. Stand My Ground


4. Halcyon Days


5. Fantasy


6. Out Of The Fog


7. Castles In The Air


8. Dragons


9. One Must Fall


10. If The Story Is Over


11. Nemesis



#1 作曲 マティアス レビュー

1発目からアグレッシブなナンバーだ。

情熱的でパワー溢れる歌メロが魅力であり過去最高にエネルギッシュな本作の序章にふさわしい仕上がりとなっている。ギターとキーボードの激しいバトルも必聴だ。



歌詞

わかっているのはこの人生が線路の終わりで方向転換することだけだ 太陽は燃えず空は青くない 俺にとってそれは前進する兆し



#2 作曲 マティアス レビュー

キャッチーなメロが印象的な活気ある曲。

この手のタイプのトラックはメインメロに依存しがちだがマティアスのザクザク刻まれるかっこいいギターリフにより一皮剥けた出来となっている。厚みのある音と曲展開を武器にしているマティアス時代に強い歌メロが来れば鬼に金棒だということをわからせてくれる力作だ。



歌詞

時なくして価値なし 俺たちは時が過ぎてゆくのを見守り気分が安らぐ他愛ない嘘を信じ続けている 流れ星の下、俺たちは運命を永遠に封印する 



#3 作曲 マティアス レビュー

Aメロではヘヴィな疾走を見せるストラトにしては新しいタイプの曲。サビはハロウィンを彷彿とさせるライヴで合唱が出来る類のメロでファンを狙った曲でありながら実験曲でもある面白いナンバーだ。個人的にこの曲のツボはイェンスのキーボードソロである。非常に短いソロだが哀愁とかっこよさが混じり合ったメロでたまらない。。



歌詞

俺の夢は自分自身の一歩一歩を導いている 俺には全うすべき宿命がある 俺は新年を守り抜き、一歩も引かない



#4 作曲 マティアス レビュー

またしても激しいナンバー。

嵐の季節の中に突如現れる平和な7日間についての曲で暴れ狂うギターと電子音かっこいい。そしてこの曲の最大の聴きどころは畳み掛けるようなサビの歌メロである。インパクトがあるだけでなく哀愁もうまく乗せているところにマティアスの才を感じる。

台風の目を表す不吉だが平和なアウトロも魔力がかっていて好みだ。



歌詞

俺は未だ孤独の中、ここでもがいている

でも心の中の苦しみは、、僅かに感じる



#5 作曲 ラウリ

レビュー

ポップ路線のラウリ曲。ポジティブだが力強い曲調のため本作の世界観を壊していないところが良い。淡々とした間奏パートもダレずに聴けてラウリにしては頑張った方だ。




歌詞

割愛



#6 作曲 コティモ ヤニ マティアス レビュー

アグレッシブナンバーが目立つネメシスだがこの曲は際立って激しい。歌メロが勢い任せなところが少々気になるがとにかくギターがかっこいい。今まではキーボードや歌メロが主役になることが多かったストラトだがギター中心でも魅せれるバンドであることを証明した曲でもある。



歌詞

全ての祈りは報われず葬られる 風に恐怖が潜み、宙に死が漂う 切に願う悲しげな鎮魂歌 血と罪の洗礼を受けた俺たちにはわかる

誰もが誰かの息子だったことを 



#7 作曲 イェンス レビュー

大好きなナンバーで本作で1番魔力を放っている。バッハ風のピアノイントロから完全に引き込まれる。その後キャッチーなコーラスが入りパワーバラード調になる。イェンス作のため所々入ってくるキーボードの使い方がオシャレで美しい。ギターソロが少しくどい気もするがその後の間奏部分などもアツく聴きどころが多い。突出したメロがなくても全体の雰囲気で魅せてくるこの新生ストラトのスタイルも好みだ。



歌詞

消えゆく太陽の王国は何の痕跡も残さず滅びゆく その道は永遠に続き、俺たちは塵と化す



#8 作曲 イェンス  レビュー

イェンスにしては珍しいストレートなハードポップ曲。アップテンポ気味のミドルで昔のストラトを聴いてるような内容。ただどのパートも残念ながら薄っぺらく全く記憶に残らない。ノリで作ったような手抜きっぷりが目立ってしまう。



歌詞

お前は天国に行きたがっているが死にたがってはいない 自由のための静かな叫びが火と化し水と化し石も同じ、空も同じ、なくなりはしない 風がお前の名前を囁くのを聞くんだ 



#10 作曲 イェンス レビュー

力強いスロー気味の曲。ヘヴィさと所々に垣間見える静けさが良い対比となっている。

後半の静寂パートなどは魔力があり気持ちがいい。ただ悪くはないがアルバムの前半が凄まじかっただけに影が薄い。



歌詞

俺のエデンの園を焼き払え 黒い虹の下に人は倒れねばならない 



#13 作曲 コティモ ヤニ

レビュー

一生をかけて自身の最高傑作となる本を書こうとしている年老いた作家についての物語。

本作唯一のバラードであり名曲。イントロのメインメロを聴いた時点で多くのリスナーが名曲と確信するだろう。曲が進むにつれて圧が増していく感じもよく感動を畳み掛けてくる2種類あるサビ?も効果的だ。一つ神メロを思いつき後は雰囲気で作っていったタイプの曲か。



歌詞

かつて俺は自分の夢を書き記していた 年月が塵と化すのを見てきたが今は自分が錆び付いているように思える 蝋燭の最後の灯りが徐々に消えていくように全ての空しい言葉と全ての詩は消えていく 



#14 作曲 マティアス レビュー

本作の総括的存在のアップテンポ曲。

激動の世を表すかのように変化させていくマティアスのきめ細かいギターリフが今回も猛威を振るい魅力的。メロディアスな間奏や感情を爆発させているコティモのボーカルラインも評価できる聴きどころが多い良曲だ。



歌詞

夜が明けるとこの街は忘れられる 道路に描かれた白いストライプが俺の行く手を示してくれる 




15th Eternal 2015

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トルキが去りマティアスが加入した新生ストラト時代の集大成とも言える内容の15thアルバム。ここまで彼らが築き上げてきたものを上手くまとめ炸裂させている力作だ。ただポラリスほどプログレ要素は無く、エリジウムのようなフックが効いた曲も少なくネメシスほどパワーも無いため、中途半端な作品とも言えてしまう。中盤は似たようなコンパクト曲が続いたりと欠点も目立つがラスト曲「Lost Saga」は必聴。この曲のために今作を買っても良いほどだ。




1. The Eternal Dream


2. Shine In The Dark


3. Rise Above


4. Lost Without A Trace


5. Feeding The Fire


6. In My Line Of Work


7. Man In The Mirror


8. Few Are Those


9. Fire In Your Eyes


10. Lost Saga



#1 作曲 マティアス ヤニ レビュー

安定のパワーメタル疾走曲。わかりやすいメロディでオープニングにふさわしい。歌メロはあまり好みではないがマティアスの変芸自在のリフとオシャレなイェンスのアレンジによって曲の質を高めている。



#2 作曲 コティモ ヤニ レビュー

シングルにふさわしいミドル曲。こちらもキャッチーで親しみやすいサビなどが魅力。

ただ手堅く無難なのが気になり何かもう少し特殊な技法や展開も欲しかった所かも。



#3 作曲 マティアス レビュー

今作で1番インパクトのある疾走曲。ネオクラ色、メロスピ色、パワメタ色の3つがうまく混じり合っていて強力なナンバーだ。どのパートの歌メロも記憶に残り爽快である。



#4 作曲 ラウリ レビュー

ポラリス時代を彷彿とさせるパワーバラードでプログッシヴな要素が随所に盛り込まれたナンバーだ。特化した箇所はないがどこを舐めても味がするタイプの曲で工夫が凝らされている。ラストのミステリアスな音作りなども癖になる。神秘性、優しさ、ストラトらしさの3拍子が揃った面白い良曲だ。



#5 作曲 マティアス レビュー 

アップテンポ曲。爆発力はないが隙のない良曲。少し手堅くまとめすぎた感もあるが彼らが現在持っている個性と力を発揮できている。サビなどの歌メロはバランスの取れたキャッチー具合で好みだ。



#6 作曲 コティモ ヤニ レビュー

アップテンポ曲だがこちらはイマイチ。

彼ららしい音作りで特に悪いところはないのだが何度聴いても覚えられない残念な空気曲。無難過ぎでB級メタル感が出てしまっている。



#7 作曲 イェンス レビュー

少しばかりプログレッシヴ色のあるミドル曲。複雑なギターリフは面白いが肝心のメロが弱く2曲続けての空気曲となる。ただイェンス作のためサビ後に来るキーボードソロのクオリティは素晴らしい。キーボードソロだけが取り柄という珍しい凡曲だ笑




#8 作曲 コティモ ヤニ レビュー

AmorphisやNightwishを彷彿とさせるわかりやすいイントロから始まるミドル曲。安っぽく感じるフィンランドクサメロが微妙だが

歌メロはまずまず。似通った雰囲気のミドル曲が連続しているせいで印象が極薄になってしまっているイメージがある。曲順やアルバムの構成って大事やな、と改めて思わせてくれる。



#9 作曲 イェンス レビュー

悪い流れを断ち切ってくれたのはイェンスのこの名バラード。暗いピアノと悲壮感漂う歌メロが美しい。サビのギターも哀愁を放っていて良し。




#10 作曲 マティアス レビュー

前々作収録のエリジウム以来となる10分超えの大曲で締めくくる。神曲である。

始まりと終わりの神聖なコーラスからジャケットの世界に引き込まれ、マティアスの作曲センスが発揮されたミドルパートとサビの時点で満足だ。しかしハイライトはこの後の爆走パートからのイェンス&マティアスの美旋律ソロ、そして静まり返った後の究極哀愁パートである。ここのピアノとコティモの歌メロは涙腺崩壊物であり、メタル史いや音楽史に残るパートと言っても過言ではない。10分という長さを全く感じさせず無駄なパートが一切無い曲で引き出しの多さに驚愕。

ストラトの中でも1、2位を争う大好きなこの曲を全メタラーのみならず全音楽を愛するリスナーに聴いてほしいものだ。




16th Survive 2022

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7年という長いブランクを経て発表された本作はよく作り込まれており前作よりもメリハリのついた曲が多く安定の高クオリティどころか過去最高傑作とも言える内容。

今まではあまり見られなかったマティアスとコティモによる共作が多いためか歌メロに力が入っているのが特徴でコティモの歌唱力も過去最高と言えるほどに進化しているところが今作の魅力と言える。

全体的にエリジウムに近い作風になっているがイェンスの単体曲がひとつもなくやや魔力に欠けており世界観が見出せないところが唯一の欠点か。


01. Survive

02. Demand

03. Broken 

04. Firefly

05. We Are Not Alone

06. Frozen in Time

07. World on Fire

08. Glory Days

09. Breakaway

10. Before the Fall

11. Voice of Thunder


#1 作曲 マティアス

レビュー

アグレッシブなオープニングナンバー。「人類は絶滅から生き残ることができるのか」というテーマと「ストラトヴァリウスがどのように生き延びてきたか」という2つの意味が込められている。

いきなりAメロでは疾走をみせるがBメロではテンポダウンし歌メロ重視、そしてサビでは一気に盛り上げるというストラトのメインコースを楽しめる曲だ。聴けば聴くほど味が出てくるスルメ型でもあるので時間をかけて作ったことがわかる。マティアス時代になってからはアルバムの1発目がやや弱い印象があったが今回は健闘した方だろう。


#2 作曲 マティアス コティモ

高クオリティアップテンポ曲。マティアスのリフがキレキレのイントロとサビの歌メロが魅力的。ポジティブだが悲しさのあるサビメロがストラトらしくていい。


#3 作曲 マティアス

シンプルでリズミカルでプログレッシヴという今までに無いタイプの曲だがストラト色はMAXなので安心して聴ける。最初はあまり印象に残らなかったが聴けば聴くほど味が出てくる。重みのあるサビメロとイェンスのキーボードが鍵となる曲だ。

本作が出る6年前に既に出来ていたらしい。


#4 作曲 マティアス コティモ イェンス

レビュー

ポップよりのパワー溢れるストラトメタルソング。キャッチーな歌メロの爆発力が核となっている曲。ただの阿呆ポップにならないようにネメシス時代を彷彿とさせるマティアスの勢いあるリフとイェンスの電子音キーボードが良い味付けとなっているため聴ける。


#5 作曲 ラウリ マティアス

ポジティブなミドル曲。他のB級メロパワバンドでも作れそうながっかり凡曲である。

世界観も個性もないためトルキ時代の手抜き曲の方がまだ擁護できるかもしれない。


#6 作曲 コティモ マティアス イェンス

ポンペイ大噴火をテーマにしている曲でここにきてようやくダークなストラトを聴ける。ヘヴィでスロー気味の曲調で特に刺さるメロディはなかったがポラリス時代のような北欧流の雰囲気の作り方は健在で安心する。

曲が終わったと見せかけてもう一度マティアスリフで畳み掛けてくるエンディングは斬新だ。



#7 作曲 マティアス フランシスコ

エネルギッシュでアップテンポでコンパクトなナンバーだ。とっつきやすさのあるメロとグイグイ引き込んでいくマティアスリフがこちらも上手く融合していて良質な曲に仕上がっている。ただシンプルな曲が連続しているためもっと面白いパートなども入れてよかったのでは、と思ってしまう。


#8 作曲 マティアス コティモ イェンス

旧ストラトを聴いてるような感覚に陥るほどトルキ時代を意識している疾走曲。とにかくキャッチーで爆発力があり爽快である。

サビはハロウィンを彷彿とさせるメロでライヴでは大合唱が起こり盛り上がるのは間違いないだろう。間奏のメロディも良く流れは完璧と言っていい。

特別好きというわけではないがここまでトルキ時代を思い出させる内容のものは初めてだったため良いアクセントになっていてグッドだ。


#9 作曲 マティアス コティモ

セミバラードでありセミプログレッシヴな曲でもある。バラードがない本作の中では目立つ存在だが彼らにしては面白みがなく中途半端な印象がある。

似たようなタイプの曲が連続しているためここでがっつりバラードをやってほしかった。


#10 作曲 マティアス コティモ

ライヴ映えを狙ったのかサッカーのサポーターが歌ってそうな脳筋イントロとサビが気に入らない。疾走曲の部類に入るがこれも中途半端な印象が強い。ネメシスのボートラに入ってそうな雰囲気である。



#11 作曲 マティアス コティモ

 イェンス今作で1番出来が良いと胸を張って言える10分超の大曲。エリジウムを凝縮させたような内容でギターリフと歌メロに隙がなくマティアス集大成曲とも捉えられる。中盤のソロもテクニカルながら哀愁があり見事だ。Lost sagaみたいな疾走パートがあっても良いような気もしたがこれはこれでよし。

 
 
 

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