迷王の教室
- 奥田ゾンダーランド
- 6月28日
- 読了時間: 21分
更新日:7月3日
中学には困った変な先生がわんさかいた。
中でも1番レジェンドだと思ったのが1年の頃の担任であり理科の先生だった。
PHASE-1
その先生は6つ上の兄が中学に通っていた頃からいた。
兄は言った「スネイプ先生みたいなやばいのがいる。威圧感ありすぎで怖いけど凄い先生。」
黒いマッシュルームが乗っかっているような髪型をしていたためこの記事内ではデスキノコと呼ばせてもらう。
(中学時代には別にちゃんとした呼び名があった)
当時兄は大学生でメタルバンドをやっていた。
そのデスキノコは大のプログレ&ハードロックおたくで兄とは卒業後もメタルやバンド関係の話を中学校に遊びに行くたびに会ってはしていた。
小学校の時から存在を知っていたため、入学式で担任がそのデスキノコだと知った時は驚いた。
年齢は50手前くらい。黒いジャケットを着ていて、人相はめちゃくちゃ悪くて、常にポケットに両手を突っ込んでいる暴力教師みたいな見た目だ。

参考までに
(スキー教室で撮影。カメラ向けた瞬間中指を立ててくるおっかない先生だ。)
「お前らと1年を共にすることになった。このクラスは小学校とは何もかも違うことをまず伝える。
最強のクラスを目指す。運動会も合唱コンも定期テストも一位以外はあり得ない。
勝負に勝つことの大切さをお前らに教えていきたい。よろしく」と言いそのままポッケに手を突っ込みながら去っていく。
おおお!貫禄が凄い!
先生が入って来るまでは騒がしかった教室も一瞬のうちに静まってしまうオーラを放っている。まるでドラマが始まったような雰囲気だ!志田未来になる未来が見えていた。この時は
信頼度100
貫禄100
PHASE-2
その後に自己紹介カードみたいなものを書かされる。なんと出会ってからまだ1日も経っていないというのにクラスの半数が尊敬する人の欄にそのデスキノコの名を書き入れるほどだ。これがカリスマ教師なのか?
同じクラスになった小学校時代からの親友である喧嘩番長は真島吾朗と書き、自分は高杉晋作と書き入れた、、笑
なんと初日の給食の時間にデスキノコが近づいてきて自分に声をかけてくるというイベントがいきなり発生。
最強のボスが話しかけてきてくれたことにその瞬間は興奮マックスだった。
デスキノコ「お前の兄貴に伝言だあ。
また新しい曲を出したら俺のとこに持ってこいって伝えておけ」
口臭えええ!!!!!!!!
お、、おお、、まあ曹操だって織田信長だってすげえやつだが口は臭かったかもしれんからな!そこは切り離して考えるべきだ、
にしても忘れられぬあのメタンガスと腐り切った野沢菜を混ぜたような臭い。。トラウマレベルだ。。
まあこの話は置いといて
この時期はデスキノコのカリスマ性にやられており、彼の似顔絵を机などに描いていた。核爆弾と書かれた服を着ていて無駄にカッコいいキャラになっていた。
しかしある日、デスキノコに発見される事件が起きた。
デスキノコ「あん?俺が核爆弾?ふざけんな。
うん、核爆弾か。悪くねえ。。」
と言い放ちニヤニヤしながらどっかいった。
あのデスキノコが自分の絵を認めてくれた!という喜びを感じたと同時に、大物と思われて嬉しそうにしているデスキノコからはうっすらと小物の臭いもし始めた。
いや、まさかな。結構可愛いタイプの先生なのか?

↑(当時中学時代に描いたデスキノコの肖像画)
彼の計らいで新一年のための教師紹介ブックでこの似顔絵が採用されたものの、その冊子を無くすという大失態を犯してしまいここでは載せられず無念。。
ここからねじれと歪みが生じ始めた。
信頼度98
口臭度100
PHASE-3
理科の先生で授業は教科書通りにやらずに自分の持つ豊富な知識を交えながら進めていくので深みはあった。毎回レポートを出すシステムで先生の話をしっかり聞いていないと何も書けなくなってしまうため、クラス全員がその時間だけは必死になり聞いていた。

(↑こんな感じのレポートだ。一応高校の物理や化学にも対応できるほど高度な教えであり、殺せんせーみたいな授業内容となっている)
大変だけど自分達を成長させようとしているんだ!ここでもクラスメイトの心を掴んでいた。
更になんとデスキノコは理科室の隣の理科準備室を占領し自分の部屋にしていた。
「他の教師は部屋を持ってない。これは俺だけに与えられた特権だ。職員室にいることはほとんどねえから俺に用がある時はここを訪ねると良い」
さ、さすが 教師界の番長みたいだ。。
帰りのホームルームの時はいつも演説的なものをやっていた。
「徒競走で力を抜いてる奴がいたな。いいかーお前ら。勝利に拘らない奴は一生弱者のままだ。覚えてろ。俺はお前らを信じてる。」
的な怖めの圧を毎度かけてくる。演説の前後は凄まじい沈黙が訪れ緊張が走る。
初めは「俺ら、、やっぱ特別なクラスにいるんだ!何だか自分も漫画も主人公になれてる気分だ!」と思い込んでいた。クラスのみんなも間違いなくそうだっただろう。
テストが近い日のホームルームはいつもに増して激しかった。
中間テストの直前の時などは
「いいかーお前ら。これはただの定期テストじゃねえ。
今後のお前らの人生がかかった真剣勝負の場でもある。ここで怠けたやつは今後の人生も挫折が続くと思え。俺はお前らを信じてる。決戦は明日だ、、備えろ」と言い放ちポッケに手を突っ込みながら教室を去る。
段々マンネリ化してきたのもありこう感じ始めた。
「あれ、、?もしかしてこの先生何かのドラマとか映画の影響受けてる?」
理科のテストはやはり難易度が高い。ただみんなは死ぬ気でデスキノコの授業を聞いているため案外解けるものだった。
しかし最終問題にこんなものがあった。
「理科の授業や先生に対してのコメントを書いてください」(5点)
おや?点になるのかこれは、、
珍しいものなのか知らないがとにかくボーナス問題だな、と「先生の授業はわかりやすく、豊富な豆知識を交えながら話してくれるのでとても楽しい時間です」と半分本当、半分おだて風のやつを投下しておいた。
返却時にこう語るデスキノコ
「俺の授業に対する感想は読ませてもらった。点数は加算してあるから安心しろ。今後の授業の組み立てに必要な要素だから不本意ながら入れた要素だ。ただこの感想部分は今後のお前らの人生には必要のないものだから切り捨てて処分しろ。俺のテストは高校受験のみならず高校の授業に役に立つから大切に取っておけ。つまり俺のことは卒業後は忘れろ、ということだ。」
半分なるほど、半分「?」言った具合だ、、、 クラスの7割ほどは相変わらず神のように見ていた。
毎回テストの度にこの感想を書く欄があるのだ。
信頼度 95
サイエンス度 100
PHASE-4
朝登校すると校庭から恐ろしい怒鳴り声が聞こえる。野球部の朝練だ。顧問はデスキノコであり野球部は超厳しいらしく地獄のような猛練習をさせられていた。
勝負になるととにかく1位に拘る先生のため
運動会や合唱コンクールの時は我々も朝練などが大変であった。
合唱コンの選曲も投票制のはずなのだが、上手く改ざんされその先生が好きな曲というか勝てそうなアグレッシブ曲に強制的にされるのだ。。今思うと独裁帝国国家じゃねえか!
(1年次は野生の馬、2年次は大地の歌だ笑 たしかに両方ともかっこいい。さすがプログレロックマンだ、、センスはある。)
夏が始まる前にCDをクラス全員に配布し、夏休みが終わる頃には全員が完璧に歌えるようにならないと公開処刑されるスパルタ教育であった。おかげで1年次は行事で全勝することができた。
他のクラスを見下すことで自分達に自信とやる気を溢れさせることだったのだろう。
この当時は存在していなかった漫画である暗殺教室をまたも例に出してしまい恐縮だが浅野学長的なことをやろうとしていたのか...
同じクラスのバーチャルうんこと呼ばれていた友人はこう言ってた。「俺たちD組、なんだかグリフィンドールみたいだな!」
たしかに苦労した分、ドラマが生まれているクラスだ。
A組は荒くれ者どもが揃ってめちゃくちゃであったため「スリザリン」と名づけ、B組は個性的で文学的おたく軍団が揃っていたから「レイブンクロー」、C組は半分空気、半分はデコピンで即死しそうなのが多かったため「ハッフルパフ」と名付けていたためしっくりくる。
が、、だんだんこうも感じてきた。
「あれ?俺らってこの先生のモルモットなんじゃ??」
ある日の帰りの演説でまた事件があった。
「お前らに報告したいことがある。妻も子供も元々病気を患っているがついに俺にもその時が来たようだ。どうやら大きな病にかかったみたいだ。アインシュタインと同じ病気らしい。明日が精密検査だ。
こう言うのは普段は言わないが、言わせてもらう。今まで短かったが楽しかった」バッ!!(教室を去る)
何人かの女子たちのすすり泣く声が聞こえる。
悲しいという気持ちよりも温帯低気圧にならない微妙な勢力の台風がずっと居座っている気がして疲れてしまった。。
翌日の朝のホームルーム前は騒ついていた。
「先生が心配」「俺たちどうなるんだ?」「でも先生変われば楽になりそうだ」
色んな憶測が飛び交う。
するとドアがガラガラと開き、平然とデスキノコが入ってくる。
「検査の結果はなんともなかった。だがお前らも心構えという点でいい経験ができたはずだ。そういえば昨日プレパラート割ったのに報告しなかったやつがいただろ。お前らの弱いところはそういうところで」
なんやねんこいつ!!!
さすがのみんなも顔がおかしな方向に歪んでいた。
もしかしてこの人、シンプルにアカン人なの!?
茶番というワードの意味を理解したのはちょうどこの頃だった、、
信頼度75
アインシュタイン度0
PHASE-5
2学期になると、デスキノコは何かを掴んだのか、激しい自慢話ばかりするようになる。
アルコールランプを使った理科の時間ではなぜか酒の話を強引にし出し、「昨日もウォッカを2本開けちまったな。。俺の家には酒を置くためだけの地下室がある。」などと語り始める。
赤外線などの光関連の授業ではターミネーターの銃の話を強引に持ち出し「俺の家には100丁ほどのモデルガンがある。俺の家にはシアタールームがある。」などなど酷い有様だ。
そして昔はかなりの腕前のドラマーであったことも話していた。
兄はドラムがめちゃくちゃに上手く卒業後も吹奏楽部の部室に遊びに来てはツーバスを設置し叩き散らかしていた。(兄弟揃って吹奏楽部である)
部室の真下にデスキノコの部屋(理科準備室)があるためドラムの音を聴くとすぐにやってくる。
「また腕を上げたな。帰りに俺の部屋に寄ってこい」
と拉致られる。
そこで音楽やバンド生活の話などをしているのだが
兄「最近サークルではデスメタルバンドの『クリプトプシー』を叩いているんですよ。割と新しいバンドなのですが知ってます?」
デスキノコ 「、、知ってるよ。」
兄「さすがです。この間は『ナイル』ってバンドのカバーをやったんですよ」
デスキノコ 「ナイル?、、知ってるよ」
こんな感じらしい。
しかし兄は自宅でこう話していた。
「凄い先生なんだけど、どこか確かに怪しいんだよな。。そうだ実験してみてよ」
兄の話に乗っかりある実験をしてみた。
給食の時間にデスキノコに聞いてみる
「クリプトプシーってバンド知ってますか?」
ブラキノ 「んなバンドねえよ」
!!?
知ったかぶりだったのか!?
逆に面白くなってきた。こうなれば自称70年代英プログレ&ロックマスターである彼のプライドを揺さぶるものをぶつけてやろうと思い、後日給食の時間に特攻してみた。
「先生。かつてディープパープルと肩を並べた伝説のイギリスのバンド『トライデントハイパー』(架空のバンド)を知っていますか?」
「え、そんなバンドあるの?
わかった。お前の兄貴が新しく作った豆バンドの名前だろ」
これはさすがに引っ掛からなかった。残念。次は怒らせない程度で何を仕掛けようか。
と気付けばこの時期から無意識のうちに影でネタキャラと化してきていた。
((トライデントハイパーとは))
大昔に兄が幼少期の自分を騙すために作り上げた空想上のクソゲー(PS1)。○や△や□の物体を潜っていくだけのゲームで潜り損ねるとゲームオーバー。しかし2つ目を潜るとゲームがフリーズして強制終了してしまうという内容。
ある意味答えに辿り着いたデスキノコは凄いのかもしれない笑
信頼度 50
プログレ度 17
PHASE-6
色々と激しくそして中々に怪しいデスキノコから解放される日が近づいてきた学期末。気温の上昇と共に自分の心も希望の光で満ち溢れていた。
この日、我々1年生は卒業式で去ってゆく3年に歌を捧げる役割を担っていたため体育館に全クラス集められ練習させられていた。
自分の隣にはユーゴという名の脳に異常があるもやしみたいな友達(?)がいる。
歌っている最中に植物ユーゴくんが「んユレテイル」と呟く。
??
その1分後くらいに、、カタカタカタカタと体育館が揺れ始めた。
お、地震か。
デスキノコ「ちょうどいい。地学の授業の続きを始める。」
と突如我らの前に現れた。
デスキノコ「いいか?今のが初期微動」
カタカタ、、ガタガタガタ!!
デスキノコは手を広げて
デスキノコ「そして主要動!」
ガタガタガタ!
・
・
ゴゴゴゴゴ!!!!
人生でここまでデカい地震は初めてだった。
「主要動の後に明らかヤバい真の主要動みたいなのが来ているのですが先生これは一体、、」と激しい揺れの中頭を上げてみると
あいついねえし!!
揺れが収まりすぐさま校庭に避難。
すると我がクラスの前に一瞬行方を眩ましていたデスキノコが再び現れ「宮城で震度7超だ。今回の地震でたくさん人が死ぬだろう。だが悲しむな。地震のおかげで地球の内部のことがわかるんだから逆に感謝しなきゃいけねえ。死んだやつはそういう運命だったというわけだ」
「じゃてめえが死ねよ!笑」
その話をした時のこの兄の反応は今でも忘れない笑
中学校の被害は壁が一部壊れただけで怪我人ゼロで乗り切った3.11であった。
信頼度 45
マグニチュー度 900
PHASE-7
2年次になり担任はミステリアスなおばさんになりデスキノコ政権からは無事に解放された。
しかし奴の余震は続く。入学式では後輩に吹奏楽部の演奏を披露し、ドラムを担当した。
一生懸命嵐メドレーを叩いた後にデスキノコがやってくる。
デスキノコはかつてドラムをやっていたこともあり、文句を言ってきやがった。
デスキノコ「お前は魅せ方がわかってねえ。俺ならあそこでフィルインとか入れちゃうんだけどな」
と担任から外れても相変わらずのすかしっぷりを見せてくる。
2年次は放送委員会に入ったのだが、放送委員取締役がデスキノコであったため再び配下に置かれた。好きな音楽を昼に流すために入ったのだが、デスメタルを掛けようとすると「やめろ!!」とキレてくるので中々思い通りの曲を流せなかった。詳しいはずのデスメタルにビビってるようなので、ある日デスキノコの大好きなDeep Purpleのベスト盤を持っていってやった。有名だが一般人には浸透してないChild in Timeあたりの名曲を流そうとすると、嬉しそうに迫ってきて「ブラックナイトだあ!!」と言い放ち誰でも知っている超有名曲のブラックナイトを流すハメになった。
こいつ、、もしかして、70年代さえもにわか???
どういうわけか2年になってもこのように残念なデスキノコ劇場を見せられる日々を送った。
逆に私は思い始めた。これは運命であってデスキノコの正体を暴く主人公に任命されたのかもしれない、と。
こうして担任から外れたのをいいことにデスキノコは次第に面白い生き物的な扱いになり、観察対象になっていった。
ある日志士みたいな渋い友人と好奇心から肝試しをすることになった。そう、デスキノコの部屋である理科準備室にこっそり侵入するという恐怖のミッションをやってのけたのだ。
棚には謎の大量の調味料。それに野球部を酷使して手にした血と汗のトロフィーの数々。
吹き出しそうになったのは乗馬スタイルのマッサージ機が真ん中にドガンと置いてあったことだ。暇な時間にこれに乗ってんのか?
想像するだけでギャップオェしてしまう。
そして私と志士は禁断のお宝を見つけてしまった。小さな長方形の紙が束になったものだ。そこには「先生のおかげで理科への関心が深まりました。」「先生の授業やお話が大好きです。」
という生徒からの文章。
これ、、理科のテストの感想じゃねええか!
コピーして集めてたんかい!笑
この束をべろべろ舐めたり、これをオカズにしたり、、とお得意の想像が始まり背筋が凍る。
これがきっかけでデスキノコは完全にネタキャラと化した。
・突然部室に入ってきてかっこつけるためドラムを叩き出すも両手両足を一緒に叩くという幼児でもできるポンコツビートを自慢げに披露する。
・仕事終わりはカシスオレンジの水割りを飲み干す。
・3.11の時「初期微動、そして主要動!ひいいいいーーー!!」と言って頭を抱えて逃げていった。
・正体はスキンヘッドだった。
・授業中にゲロ吐いて「これは生理現象だ。気にするな」と言って立ち去った。
Etc…
もはや盛ってすらない事実無根のひどい噂をノリで友人に話すのが日課となっていた。
嫌いとかハメてやろうとかではなく、もはや大好きになり楽しくてデスキノコの話題を話してしまうのだ。
信頼度 25
酒の度数 0.00001度
PHASE-8
デスキノコのおかしな発言などがひっかかり不信感を抱く生徒も増えていっていた。
私が友人に話し散らかしてたいいかげんなデスキノコ観察レポートも効果があってしまったようで、支持率は急落していった。
入学時 95
1年夏休み 75
2年 70
2年夏休み 60
こんな感じだ。
兄は
「弟という邪悪なマスメディアが原因なのもあるが、多分、、歳だ。ボロが出過ぎてる。これは本人の身から出た錆かもしれない。」と論じた。
2年次はデスキノコはA組の担任になっていた。(自分はD組)
本人の希望のようでやや問題児を多く集めたクラスとなっていた。
ある日、変な事件が起きた。
そのA組に所属していたヴァーチャルうんこが(2年連続デスキノコのクラス)モヒカンにして登校したのだ。
グリフィンドールのハリーポッターになる予定の男が北斗の拳の雑魚モヒカンみたいになってしまっている時点であいつの教育失敗しとるやんけとなったが、、笑
元々ヴァーチャルうんこの親はデスイーターみたいなもので、2年になり親の悪い影響がモロに出てきてしまい突如イキリ出したのだ。闇堕ちというやつだ。
しかしデスキノコはキレることなく、静かに三者面談を要求。そして一度も見せたことがなかった涙を流し「俺が、いけなかったんだな...」とボソッと言い去っていったのだ。(友人談)
何人かの生徒は「あのデスキノコ先生が泣いた、、」「何か俺たちはすごい局面に立たされてるのかもしれない」とシリアスな空気を出しデスキノコの思い通りとなったのだが、、
この事件はなんと
「1人ルーキーズ」「1人GTO」
という言葉で片付けられた状態で私の耳に入ってきた。
お前ら何俺の許可なしにデスキノコをディスっているんだ、と自分以外にもネタキャラ扱いする輩が現れたところに転落の足音が聞こえた笑
こんな具合に株を上げようとするアクションを起こしても支持率が自然に下がるようになってしまったのだ。
これが兄の言う「歳」というやつなのか、、
さらに歯車は狂い始める。
デスキノコは合唱コンクールで連覇を目指すために1年次同様スパルタ教育をしたがなんと最優秀賞を逃してしまったのだ。
合唱コンの最後には教師達によるサプライズがあり、なんと壇上でドラマ「マルモのおきて」のまるまるもりもりダンスを全員で踊るというお祭り騒ぎがあった。
あの怖い体育の先生も踊ってる!とギャップ萌えターンで生徒全員が盛り上がるフィナーレにふさわしい演出だった。
が!!よーく見ると、デスキノコ、、あいつだけいねええじゃん!!!
ふてくされてキレて帰ったらしい。そういうところやぞあんた、、、
後日デスキノコはクラスでこう発言したらしい。「お前らはよく頑張った。俺は認める。審査員にセンスが無かったという話だ。もしくは票の操作でもあったのか。まあ気に病むな、これからも勝ち続けることだけを意識しろ」
励ましてるつもりだろうがお前ほど気に病んでねえし、、麻原彰晃の影すらも見えるような態度であった。
そしていよいよ終末へのカウントダウンが始まった・・・
信頼度5
尊師度70
PHASE-9
中学2年の終わり頃にとんでもない噂が飛び交った。新デスキノコ伝説を作ろうと考えていた矢先にこの2文字が耳に入ってくる。
「不倫」である。
他学年の教師であり40くらいの気の強い酢昆布みたいな女教師がいた。元々酢昆布とデスキノコは仲が良いのは知っていたのだがまさかの事件が起きた。
なんとそのふたりが多摩湖で手を繋いでデートしていたのだ。吹奏楽部の先輩が偶然発見し携帯でその現場を撮った写真が拡散されていたのだ。
び、、び、病気の妻はどおおおしたあああ!!
エグすぎるやらかしっぷりにデスキノコ文春と化していた自分も空いた口が塞がらなかった。そこまでやらかせとは言ってない!
不倫教師というレッテルが貼られてしまい、保護者からの信頼度もガクンと落ちた。
そして追い打ちをかけるように今度はデスキノコが三鷹でアルバイトをしていた、なんていう根も葉もない噂まで出てきた。
生徒からの支持率も25くらいまで下がったところで3年の春を迎えた。
信頼度 0
デスパレー度 100
PHASE-10
3年になり担任とクラスが発表された。
自分はD組になり担任は新しく赴任してきたダメなベジータみたいなおっちゃんだった。
おや?デスキノコの名前がないぞ?
もしかして他の学年を受け持ったか、それとも去ったのか、、
始業式には酢昆布の姿はなく、なんとデスキノコは副担任に降格させられていたのであった。
酢昆布が他校に飛ばされてデスキノコが担任剥奪とは、、不倫はまじだったのか!?
学校側からの処分...かこりゃ??
上から降りかかってくる「大いなるものの力」が働いた模様だった。
C組の副担任に成り下がったデスキノコはこう語っていた。
「自分から副担任になってやった。実は副担任の方がクラスを動かしやすいんだ。ほらな、C組結構問題児多いだろ?俺が上手く操作し」
なるほど、うるせえ。
うちの担任になったダメなベジータはみんなからの人気者になった。
とにかく薄情で雑で差別主義者なのだが、そのキャラと自虐的なギャグセンスで多くの生徒に囲まれる存在となった。
クラスの生徒が「不倫」というワードを発すると
ベジータ「デスキノコじゃねえんだから、やめろやめろ」
というノリでみんなを沸かせていた。
あれ、新しく来た先生にもこんな扱いされるデスキノコ、、立場やばくねえか??
教師になってまだ未熟な若いA組の先生
「デスキノコ先生の話すんな!やめろ!」
珊瑚みたいなB組のベテラン先生
「あーーあの人はなー。んー。なー?んーちょっとなー?」
2年の時担任だったC組担任のミステリアス先生
「くぉーらあああ!不倫の話は良しなさい!」
大日本帝国で例えると硫黄島陥落くらいまで勢力が風前の灯火では、、?
もう先生たちからの支持率もねえやん。というか実は元からなくて形勢が逆転して口を開き始めたのか??
もしかして前からそこまで支持率はなくてあの理科準備室は特権じゃなくただの隔離部屋だったのでは...?と哀れみを抱くようにもなってきた。
信頼度2 (情けの2をくれてやるわ)
支持率1
PHASE-11
3年の夏になるとC組から怒鳴り声が聞こえてきた。デスキノコだ。思い通りに行かずカルシウム不足になっているようだ。
理科の時間には「俺は作図の神様だ」とかいうもはや自慢なのかもわからないアピールをするようになった。
まだデスキノコを尊敬していた1年次の国語の教科書の落書きには彼のかっこいい似顔絵で溢れていた。
しかしこれをみてほしい↓

作品名「メタンガスとどきどきジャングル 」
デスキノコをモデルにしたキノコが口から有毒ガスを吐き、探検家の加賀くんがお亡くなりになるという趣旨のイラストだ。
中3年時代のデスキノコはいろものキャラとして我がノートで大活躍をしていた。
高校受験対策で自分のために作ったオリジナルノートではマスコットキャラとして解説役も担っていた。
もうみんなは夏を過ぎると勉強のことで頭がいっぱいで誰もデスキノコの噂すらしなくなった。
でも私は変わり果てたデスキノコをどんな時も描き続けた。高校時代になっても漫画にメタンガスを吐く看守役で登場させている。
虫の息となったデスキノコは卒業直前にはひっそりと消え去った、、、とはならず意外と開き直っていた。盛り上がっていたWBCを理科室のテレビで文句を言いながらつけてくれたり自分の卒アルにメッセージとかも書いてくれた。

ああ、ただ悪意はない不器用なだけの人だったんだと最後になって分かった。
散々なボロクソ奇談となったが、私はこの先生のことは嫌いじゃないなと確信した。
困った面は多いが不快な思いを特にしたわけでもなく、この異物のおかげで中学生活は楽しいものになった。
それだけでなく人間の栄枯盛衰を見ることができたこの3年間は大きく、人間臭いデスキノコの振る舞いは大人になるにつれ、時に笑えたり、時に同情してしまったりと人生の様々な場面でフラッシュバックさせられる。
今彼はどうしているのかはわからない。最期の会話では荒れた学校に赴任したいとか話していたような、、最後までかっこつけやがって。いつの時代の話かは不透明だが野球部員に暴力をふるって問題にもなったらしい。
縁への執着がすさまじい自分でさえも再開のために動くことはなかった。ただこの歳になり音楽知識が極まった今の状態で一緒に飲めたらなんて一瞬だけチラッと思ったりもしてしまう。
人から忘れ去られたり記憶に残らない人間ほど悲しいものはない。自分を形成させた人物のことは常に心のどこかでどんな形でもいいから残してあげてほしい。たいへん不名誉な内容だが私はデスキノコをこのような形で記事にし存在の影を遺してみた。
そして今後も忘れはしない。
そして時は高校
デスキノコが中学時代に教えてくれた知識が花開き、ここにきて彼が残してくれたものの大きさに気づ、、、、、、

かねえよ!!!!
留年しかけたぞチキショーーーーー!!!!!
ちなみに次の年の物理も単位を落とし死にました。
尾張
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