江戸川珍歩は描く語りき 第13幕 高校時代の残骸作「ヘルビスストイコからの脱出」他
- 奥田ゾンダーランド
- 6月16日
- 読了時間: 8分
中学2年の時にBlack Earthを描いてからしばらく漫画から離れることになった。人生で唯一の長期の空白期となる。
理由として挙げられるのは人生で初めて心に余裕がなくなった受験期到来である。
受験期で漫画を描く習慣がなくなったと同時に描きたいものがなくなってしまったのだ。
高校に入っても環境の悪さが原因で馴染めず心が荒れ果ててしまい創作意欲は塵と化した。
しかし2014年になり再び筆を手に取った。高校1年の終わり頃だ。
その理由は「復讐心」であり高校に対する「ヘイト」である。
高校という悪夢のような環境で痛い目を見て頭の中に理想郷を描かせた。そしてそれを持ち前の創作術で紙に起こそうとし第二の漫画人生が始まる。
・第23作「ヘルビスストイコからの脱出」
2014年春頃執筆

脱獄ものと革命ものを同時並行で描いていくという新たな試みだ。
ガチ漫画では初めてバトルに頼らないキャラを立てた作風となっており新章感がある。
ストーリーは高校で主人公が暴力沙汰を起こした所から始まる。

クソ高校でクソどもをボコしクソみたいな刑務所「ヘルビスストイコ」に連れて行かれるという幕開けである。
冒頭で既に高校への鬱憤が詰まっている。
実際1年の時にいやがらせをしてきたクラスメイトに退学覚悟で暴力を振るった過去があるため自分と照らし合わせた夢物語にもなっている。
そして主人公スカッシュ・ラモン・ラメイジ・ダンは脱出不可能な牢獄島「ヘルビスストイコ」へと収監される。モデルは中学の友人で弾というかっこよすぎる名前を持っていた。

船の中では同じ囚人のデフレインが登場。
似てないがモデルは一応プルシェンコがモデル。前作Black Earthではメタル要素が取り入れられたが今回はタイムリーでハマり出したフィギュアスケート要素も加わっている。どちらも今では自分の人生には欠かせないものとなっている。
徐々に今の自分の思想へと近づいていく蛹色がこういうところで見え隠れするため時代時代に創作物を産み落とすことの面白さを再認識できる。
ムショで良い仲間ができて真の絆はここにあり的な異世界なろう系ちっくでもあり、そこは読み返していてゲロッパ。現実の憂さ晴らし的なのを描きたい気持ちはよくわかるがまずは作者が妄想世界からの脱出を試みるべきである。
元からここにいる囚人と主人公たちの新入り組が次々と登場するターンへ。

新入り組には主人公のダン、デフレイン、そしてなんと麻原彰晃の姿が!!!
この作品では奴の出番が来る前に打ち切りになってしまったが今後我が作品で不動のいろものレギュラーキャラと化す尊師第1号がここに現れる。
先輩囚人たちの中にも内村航平の姿がある。彼もまた現在の我が漫画のレギュラーポジにいる。
そしてこの漫画の個人的に好きなシーンへ。
新入りの中にわけのわからん問題児「サッサー・ソツキー」がいた。


痴漢で捕まったサッサーはここから出たいと所長に逆らい看守共や先輩囚人たちも顔を青ざめる。そしてついには隠し持っていた金属バットを振り回し大暴れを始める。

しかし謎の兵器でゲベ!!と粛清
このサッサーは中学時代にクラスが同じだった野球部の男がモデル。性欲が凄まじい男で恋愛相談にも乗ってあげたのにある日突然ブロックをしてきたので制裁としてバラバラにしてやった。
ここからは各キャラが脱走プレイをみせるターン。

大脱走の影響が強く出ているシーンだ。

それぞれ描きたかったキャラは描けているが個性がいまいち出せてないところが残念点であり課題となった。
刑務所を出るトラックに潜み脱走を試みるイケメンロシア人とインテリメガネ。


超越人間というワードが出てきたり壮大なストーリーの影を見せる。つまり打ち切りフラグである!
シンプルイズベストで挑むべきものを理想が膨れ上がり大作思考になる悪い癖は昔からの持病である。
喧嘩をするフリをして看守の気を引き脱走する作戦をしたりとプチ脱走劇があちらこちらで起こる。
大脱走計画を練る大物囚人が登場。

脱走の真の目的は国をダメにしてる独裁政府「ジュラディエーター」を混乱させることであった。
オチが決まってない大作設定ほど首を絞めるものはない。
一方主人公ダンは仲良くなった囚人と変装して移送される囚人団に紛れようとする。
前作Black Earthでも出てきたデカ女がリメイクされてまた登場。でかい貫禄あるヒロインを出したいという思いはこの時代から強くなっていった。ただヒロイン慣れをしていないため薄っぺらい魅力のない女キャラと化している。

看守が臭い息を出すシーンはお気に入り笑
冒頭でも少し述べたがこの作品は脱獄編と革命編の2つの場面を同時進行させていった意欲作でもあった。
刑務所の外では政府を倒すための反乱軍が計画を練っている。


革命軍のやつらはそれぞれ囚人たちと関わりのある連中で2つのチームが最後は鉢合わせをするといった大作を予定していた。
しかしこの革命軍ターンの所で打ち切り。
今こうして振り返っても面白くなる要素が何一つなかったので死すべくして死んだ作品だ。
エンディングのビジョンが見えないまま大作に挑むのはトレーナーとクロックスで冬の富士山に挑むようなものである。
バトルや王道展開に頼らず大勢のキャラを活かそうとした物語作りは成長と言えた。
もうひとつ紹介したい。
第24作「ネオ・スティング」
2014年の9月から10月にかけて執筆したものの徳川家茂くらいの短命作品となった。
名作映画「スティング」を日本版でフルリメイクするという新しい試みをやろうとした。前作で痛い目を見たためオチが保証されてる、かつ安全にキャラを活かすことができるといった2つの理由で堂々とオマージュ作品(パクリ作品)に挑んだ。勿論原作は超リスペクトである。

国立市のヤクザターンから始まる。
下っ端ヤクザが金を届ける仕事を命じられる。
受け渡し場所が中央線の先頭車両という所は味がある。
事務所を出た瞬間に目の前でスリ発生。

通りかかりの女子高生がスリを阻止。

スルーしても良かった作品だが、何故今回これを取り上げたのか。その理由の一つとして現最強レギュラーヒロインである2人の原点が描かれているからだ!!
このブサイクなチビJKは「イソベ型-初号機」
スリ役のブサイクなデカ女は「ダリア型-初号機」
である!今後描いていく作品では皆勤賞となる彼女たちである。大学以降絵も上達し顔もどんどんリメイクされていき今では我が球団の大黒柱的存在となっている。
イソベ型とは
高校時代恋をしまくっていた他クラスの女子をモデルにしたら中毒になってしまった。詳しくは我がブログの卓球部奇談「他がために球を打つ」をみてほしい。爬虫類さんという名前で登場する。まあきちがいストーカーと言われても仕方ないが、もはや本人ではなく架空の謎の概念に恋をしてしまっている危ない状態である。
ダリア型とは
小学校終わり頃からデカい女を出したがる傾向にあったが高校に入ってから理想のデカい女像が確立され、この作品からデビュー。この段階では顔が残念だったりと色々酷い彼女だが作品を重ねるごとにかっこいい顔になっていきカリスマを持たせられるようになった。理想の花嫁である。現実では会えずに生涯を閉じてしまいそうだ。
長くなってしまい申し訳ない。話に戻ろう。
スリの被害者もなんと大金持ちで、ある組織に17時半までに郵便局に振り込まなければならないという下っ端ヤクザと同じ境遇の人物だった。

被害者は動けず1万円を出すから代わりに郵便局に金を届けてほしいとお願い。
女子高生は断るが、ヤクザは協力してあげることに。
ここで女子高生は郵便局に行く途中に金を奪われないようにヤクザに入れ知恵をする。

ヤクザの持つ金と被害者の金の両方を借りパンツの中に金を隠せば大丈夫と、見本を見せてあげる。
なんとこのヤクザはなかなかにクズで郵便局に向かわず被害者から受け取った送金用の100万を持ち逃げしようする。しかし、、

金は全てトイレットペーパーにすり替わっており自分の組織の金も消えてしまったのだ。女子高生がスカートの中に入れた時にすり替えられ、まんまとスラれてしまったのだ。

被害者と女子高生とスリの3人はグルという詐欺師たちの物語。まんま「スティング」である!!
映画の内容をパクっているためさすが話は面白い方向に進む。
ここで打ち切りとなったのだがその理由はいつものネガティブなものではなかった。味を占めたのだ。
この容量ならもっともっと好きな映画であり我が人生の師とも言える名作「大脱走」をまるパクリにした作品を作れるのではないか、、という野望が生まれた。
そしてこの翌月、とてつもない超大作に挑むことになる。
今回紹介した2作は記憶の果てに追いやられた空気作だが、今へと繋がる要素がかなり込められていた。
・レギュラーキャラの原点
・バトルに頼らないドラマもの
・キャラに重点を置いた作品作り
・女キャラを積極的に使っていく
・復讐心を創作意欲に変換する
現在にも通ずるこの5大エレメンツを手に入れ次回、いよいよターニングポイントとなる300p越えの第25作目「ネオ・大脱走」の紹介に突入する。
ここまでお付き合いいただきありがとう。さらば!



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