江戸川珍歩は描く語りき 第11幕 W狂作「バカボンダ&漫画日本史」中学謳歌は創作脳を壊死させる
- 奥田ゾンダーランド
- 2022年5月30日
- 読了時間: 6分
幸福は創作脳を腐らすものだ。
ロシア映画界の巨匠アンドレイタルコフスキーは「人は何故物を作るのか。それは世の中に疑念と不満があるからです。」的なことを語っていたが、この歳になってその意味がよくわかった。
今思うと中学時代は世に対する不満がなかったのだ!
しかし何かを描きたい欲はあった。小さい頃からお話を書いていたためか、犬の習性のように何かしらを描こうとした。
そう、、人生で初めてIQ0の状態で漫画を描いてしまったのだ!インスピレーションのみの手抜き作をだ!
こうして中学1年時代に2つの狂気作が生まれた。
まず紹介したいのが
第20作目「バカボンダ」
バガボンドのパロディで宮本武蔵の半生を描いたのだが、、



All英語!!!と思いきや、ただ強引に全ての日本語をアルファベットに書き換えただけの迷惑漫画である。ぱっと見英語にみえてかっこいいのでは!?というおかしな発想からこうなった。
お前を倒す→Omaewotaosu こんな感じだ。。
しかもSの向きを間違えていたりtsuと記すべきところをtuにしていたりと間違いだらけで救いようがない。
佐々木小次郎と宮本武蔵が会話しているとこから話は始まる。
「決闘だ」
佐々木「でもここは巌流島ではなくて祇園だから決闘できない」
宮本「そうだった」
佐々木「スキあり!油断大敵火事親父」
と佐々木に不意打ちを喰らわされ首チョンパされる宮本武蔵
実はここはラストシーンでここからの話は全て回想となる。
2話目は5年前の関ヶ原から始まる。

関ヶ原の戦いで何とか生き残った宮本は丸目ナガヨシに出会う。 超絶無意味な会話をして2話目が終わる。
2コマ目の「生き残ったー。さてと、デニーズでも行きまっか、くもまっか。」
最後のコマの「それから1年が経ちました。武蔵は元気です。君は元気?」WED (ENDの間違い)
など謎文が多く脳みそがヘロイン状態だったことが伺える。
3話目は祇園から始まる。

祇園の邸宅でうんこをしている宮本武蔵に突如襲いかかる宍戸梅軒

戦闘へ

ピンチのところ友人の又八が緊急参戦し撃退

一難去ってまた一難 今度は丸目が突然襲いかかる
ピンチのところに駆けつけてくれたのは友人の伊東一刀斎

宮本武蔵、又八、伊東の3人で丸目を追い詰めたところに佐々木小次郎参戦!
という激アツ(??)なところで打ち切り
シュールさ S
異常さ S
その他 F
こんな感じの作品だ...
似たような狂作をもう一つ作った
それが第21作目「エセ漫画日本史」である。
学校の図書室にあるような1人の歴史人物に焦点を当てた伝記風漫画を描きたくなったのだ。
1人(1話)2ページだけというぶっ飛んだ挑戦だ。
バカボンダと同じように本能だけで描いたため絵のクオリティは酷くストーリーは手抜きを通り越して超難解の域に達している。歴史考証の「れ」の字もない精神異常作。いくつかの回をご紹介しよう。
1話 卑弥呼
陰茎みたいなデザインのヤマタイコクから始まる。
卑弥呼は「ヒ、ミ、コ」としか喋らない。

卑弥呼を訪ねた直後、首が吹っ飛ぶおとーと。他国の豪族襲来だ!
どうなるかと思いきや平成のサラリーマンの日常シーンが2コマだけぶっこまれ

「ヒ、ミ、コ」
で幕を閉じる
難解度 A
史実捏造度 A-
3話目 ぬたなのおおきみ
↑額田王のこと。
・アゴの長いしゃべり散らかすぬたなのおおきみ。
・柿本人麻呂でございまろ、と自己紹介する柿本人麻呂
・2頭身の可愛い有間皇子
・首が空中浮遊している三条天皇
この怪物みたいな4人が平家暗殺を企てている密会をしているところから話は始まる。

会議中に怖くなり離脱しようとする有間
三条天皇は口からビームを出し有間皇子処刑

「裏切りは死、あるのみ」と語りどっかに去って行く三条天皇...
後半に続くと書いてあるが後半なんてものは存在しない
難解度 B
史実捏造度 S
第4話 聖武天皇
大仏作りを進める聖武天皇。
帰り道に江戸の侍みたいなのに襲われる逃げる天皇

聖武天皇の口癖は「ウィー、ウィー」だ。
今読み返すと可愛い。
暗殺されてしまった天皇。しかし4日後に大仏完成

それをみて本物?偽物?の聖武天皇が「やっと出来上がったと」と感動してエンディングを迎える。
この回はデヴィッドリンチの映画みたいな内容に料理されている笑
難解度A-
史実捏造度 A
第5話 鑑真
唐招提寺で修行中の鑑真の元へ挨拶にくる普照

普照「ガンジサ様、こんにちは」
鑑真「コンニチハ」
翌日も普照が挨拶にやってくる。
しかし!

普照「がんじんさん、おはようございます」
鑑真「.....」
普照「死んでるー!!大変だー!」
色々酷いが座禅組みながら死ぬ最期は史実通りなのでギリセーフと言える内容。死んだはずの鑑真の最後にニヤリ、とやはり最後のコマで遊んでしまう
難解度 A-
史実捏造度 B
第6話 空海
見た目がヤクザ化している空海たち。

弟子のタイハンにライバル最澄の暗殺を命じたがしくじり、「エンコじゃすまん話やで!」と激おこ空海

おそらくこのシリーズで1番まともな回。
龍が如く風になっているが、空海と最澄の関係はギリ史実通りであり、カオスの極みである謎コマも存在しないため歴史漫画としてなんとか成立している....
難解度C
史実捏造度 B-
第7話 行基
ここにきてまた問題作
行基が崖の上でションベンしているとこから始まるも、崖が崩れさあ大変

なんとナイフを投げた犯人は極悪人ヅラの聖武天皇であった。ミミズ化した光明皇后も魅力的。
とんでもない歴史捏造作であり、最高に意味がわからない終始カオス劇
難解度 B
史実捏造度 S
第9話 紫式部

この謎ターンの正体は紫式部が書いていた源氏物語であった。そして急に発狂、、

ラストに何故かリアルカメックが出てきて「なにげなく、さぐってますなクッパ様♡」と言うシーンがハイライトだろう。
難解度 A
史実捏造度 B
日本史人物図鑑とかも作っていた笑

何か重度の精神病を患っていたのではないかと疑ってしまうほどの狂気的なものが多い当時の作品。
最低だが憎めない楽しさがある。
この時代の創作脳は完全に壊れていたと言える。
しかし、この両作の強みは唯一無二のシュールさである。このシュールな面白さをもう一度再現してくれと言われても不可能だ!
どうしたらこんなキモいキャラを量産でき、わけわかめなストーリーを作れるのか、、中学時代の自分に教えを乞いたいほどだ。
これを描いたことによる成長や評価は皆無に等しかったが、何も考えずに描くことがおぞましいパワーを生むことを未来の自分へ知らせてくれるタイムカプセルのような役割を果たしてくれた。
右にならえの人生を送らなければ、各時代の自分の生き方が今の自分にあらゆるヒントや力をくれるものだ。
こちらはおまけで載せるが同じ時代にもう一つクソ漫画を描いていた。
その名は
「ワックスマン」(第22作目)
初のヒーローものだ。

1話2ページ完結で毎回何かしらの怪人が街を襲撃し、正義のヒーローであるワックスマンがそいつらを成敗する感じだ。チャージマン研、ウルトラマンと同じ流れだ。
手抜き作だがストーリーはあり、誰でも手軽に読めるとこは良い。得られるものや思い入れは特にない人生の箸休め作とも言える。
超短編「戦士ドラゴン」

中学1年時代はこういうアホみたいなものを量産できるほど心に余裕があり、能天気幸せであったことが読み取れる。
色々な時代に作品を描くことは大事だ。その時の心境が絵やストーリーにでるため写真アルバムよりも明確な当時の自分を残すことができる。
この辺で終わろう。
次回は中学時代唯一のガチ作
第23作「ブラックアース」を送る!
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