歴史座の怪人
- 奥田ゾンダーランド
- 2022年5月6日
- 読了時間: 3分
たまには短い変なのも
(これは友人たちの証言も元にしている奇談である。)
大学時代私は歴史学科にいた。
ゼミナールの話とかは後日気力があれば記事にしたい。この歴史学科には一つ上にどこか頭が変な先輩がいた。

こんな感じの人だ↑
彼の存在は1限の日本近代なんちゃらという授業で初めて知った。
教室に入ると誰それ構わず「オハヨ」「オハヨ」「オハヨ」と声をかけ、着席してもソワソワ奇妙な動きばかりをする歴学の名物的存在だったのだ。一番前の席に座り彼の周りは誰も座らない。
そう、彼は聖域を作り出していたのだ。
色々と個性が強すぎてあだ名もまともにつけられない。シンプルに「歴学のキチガイ」と呼んでたが、一緒に授業を取ってたイケメンカラスが「亀」と名付けていたのでこの記事では彼のことを亀と呼んでいきたい。
亀の伝説はいくつもある
・毎回授業の初めに机の左上に電子辞書を設置し、それを駆使するのかと思いきや3分に一回キーボードを打つ仕草はするも何も打たないという超奇怪な行動を取る
・授業中に手をあげ、指名されると「イヤ
、、ナンデモナイデス」という異常行動に出る
他にも我々のゼミの教室に突然迷い込んで入ってきたりするミステリー事件なども引き起こしたりと、いつしか亀は我らのアイドルと化した。
授業の終わりには、誰それ構わず「オツカレ」「オツカレ」「オツカレ」と言い放ち去っていく。
挨拶された女子たちはニヤニヤコソコソしながら手で口を覆い苦笑いをする光景は腐るほど見せつけられた。
この授業は旅仲間でもあるT-塚田、陽キャのシンボルでもあるイケメンカラス、そしてフランス語が得意なフランス潟の4人で受けていた。
ある時、亀の隣に座ったら何が起こるのだろう、という話になりT-塚田が隣に座ることにした。
結局T-塚田は座った瞬間寝てしまう。
亀はT-塚田に向かいエア満塁ホームラン素振りを見せたり、寝ている顔の側まで手を差し出し「コッ!!」と言いビュっ!!と顔面スレスレまで手を跳ね上げたり、と期待通りの謎行為を繰り返し私は笑いを堪えるので必死だった。聖域に入り込んだ未知の生命体(T-塚田)に興味津々だったのだろう。
そしてある時大事件は起きた、、
授業の開始を待ち、イケメンカラスは朝食の代わりに巨大なプリンを食べていた。
するといつも通り亀が教室に入ってきて「オハヨ」「オハヨ」「オハヨ」「デカ」(自分たちのそばを通りかかった時にプリンを見て)「オハヨ」「オハヨ」とあらゆる人に声をかけながら定位置に向かっていく。
「デカ」の破壊力がありすぎて既に腹筋崩壊状態だったが本当の事件はこの後起きる、、
座って数分後、、亀から異音が聞こえる
「コ、、コっ、、コ、コ!」
おお、今日もまた奇妙な行為を、、と思ってた瞬間
「ンーーーーーーーー!!!!!!!!」
と胸をドンドンドンと片手で叩き狂いながら叫びそして、、ばたっ!!
泡を吹いてぶっ倒れた...
笑えるとか心配とかそういう次元を通り越して自分を含めみんなは呆然と倒れている亀を見つめていた。
とにかく「わけがわからない」という感情しか湧かなかった。。
自分は聞き取れなかったがフランス潟の証言によると、泡を吹きながら倒れている亀は小さな声で「...ナンで..ナンデ..オレダケ」とボソボソ言ってたそうだ。
もしかしたら悪者に今まで操られていて、用が済んだから消されたとか!?
元は超天才だったけどおかしな手術をされてしまい、発作と同時に一瞬我に戻った!?
とかSF洋画ちっくな想像ばかりが膨らむ、、
その後謎の善人が車椅子を持ち出し、それに乗せられ救急車に収容され消えていった。。
そして我らは教室を移動することになりそのまま1限スタートとなった。
その後彼を見たものは誰もいない、、
と書きたいところだったが次の週は普通に現れ、いつもと同じ様子だった。
この世の中は未知で溢れている。
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