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廃墟探訪 episode18 東京都に眠る廃村「峰集落」

今回は2020年の3月に訪れた東京の廃村「峰集落」の記事を書きたい。この峰集落は高校生の頃から行きたいと思っていた夢の廃村だった。なかなか勇気が出ず、踏み込めなかったがついにこの日が来た。大学最後にふさわしい過去最高レベルの旅であった。今回の相方はお馴染みとなった同志エリアス軍曹だ。

鳩ノ巣駅という山に囲まれたど田舎駅で降りる。

そこから徒歩で坂を上り、山道に突入。

険しい山道が40分ほど続く。

春なのに暑い、、途中までは疲労マックスだったが20分ほど歩くと不思議なことに気温が下がり神のような気候になった。あれは一体なんの現象だったのか。


大根ノ山ノ神という祠に到着!

ここは峰集落を目指す者の全てが通るチェックポイントであり、ここを見つけたということはあと少しということだ。



山ノ神を越えた先には、、

ガードレール付きのやや舗装された道路があった!この道路を突き進むと到着するらしい。

この道路も何のために作られたのか謎だ。


そしてついに道路が途切れる。

そう到着だ!この丸太を山を越えると右手に峰集落跡が広がっていた。

この時の感動は忘れられない。気候は最高だ。登山で蓄積されたはずの疲労はなぜか吹っ飛び過去最高に体調が良い。

廃墟探索をする時はなるべく早く撤退することを心がけて行動していたが今回は真逆だった。永遠にここに居たい、と本気で思える魔力が働いていた。


ほとんどの家は倒壊してしまっている。

10年前の写真をみると半壊はしているものの家の形をした建物を確認できた。それが今日では木材の山と化している。自然の力は恐ろしい。

電子基板的な何かが確認できる。


苔むした井戸に横たわる壊れた人形。

峰集落のシンボルとしてネットでは有名だった。

ようやく会えて嬉しい。

奥には倒壊した家屋がある。


手前にある子供の靴が印象的だった。これを履いていた子も今では50〜60代になっていると考えると、色々感慨深い。


ここらへんで峰集落の歴史について説明しよう。

この村は鎌倉〜室町時代に秩父から山越えしてきた人々らにより形成された歴史ある古い集落であった。江戸時代は林業などで栄え、昭和31年ごろに峰集落は最盛期を迎え14軒ほどの家が建っていたらしい。しかしその後林業や炭の価値が下がったり、通学の不便さなどを理由に山を降り離村する者が後を絶えず1972年に最後の住民が山を降りたことで長い歴史に幕を閉じ廃村となってしまった。


またこの峰集落は1899年にあの柳田國男が滞在していたことでも有名だった。ここでの交流や経験が彼を化けさせたらしく「伝説の廃村」と呼ばれるのもうなずける。



印象的な木があった。

落雷でやられたか。おそらく当時からあった木であろう。


こんなアクセス最悪な山の中の村が何故何百年も続いたのか!という疑問をここへ来る前は持っていた。その疑問はこの日晴れた。

ここは最高だ。言葉ではうまく説明できない。空気になにかヤバい麻薬でも入ってるんじゃないかって思うほど脳がリフレッシュされ、どんな温泉に入るよりも心身共に超回復してしまったのだ。また訪れたい、いやいっそのこと住みたい、と本気で考えてしまうほどだった。

凄まじい愛情が湧いてしまう廃墟というのは初めてであり凄まじい体験であった。

残留物はかなり残っていた。

酒瓶が至る所に落ちていた。ここに住んでいた人は相当な酒好きだったのか。まだこの村に人が住んでいた時代にタイムスリップして、ここの主人と酒を交わしながら色々貴重な話をしたかった...。

当時ここでどんな生活をしていたのか想像するのも楽しい。


古いミシンだ。↓


再び井戸と人形の写真を。


最高の旅だった。

神社の横の木が大きかった。樹齢何年レベルだろうか。

もっと長居していたかったが暗くなるとここは電気もなく危険だ。

さらば峰集落!!

帰りは随分と楽だった。

30分ほどで山の入り口まで帰ってきた。

民家の横で3人の老人が会話していたので同志エリアスが突入!恒例化した地元インタビューだ。

一人は普通のお婆さん(ノーマル婆)、二人めは細長いおじいさん(峰じい)、三人目は謎のステッキを持ったおばあさん(マッドアイムーディ)の3人だ。


その3人から貴重な峰集落の話を聞かせてもらった。

・毎日山を降りて通学していた子供がいたこと

・峰集落で結婚式を挙げる時、新婦は和服の格好で山を登り峰集落まで行ったこと

など色々貴重な話をしてくれた。

峰集落が息をしていた時代を知る人たちと話しているだけで不思議と涙が出そうになった。


長年、峰集落のことを考えていた。一体どんな生活をあそこでしていたのだろうとか、全盛期はどんな感じだったのだろう、とか。

ついに今日実際にその地を訪れ、地元の人に話を聞いたことで想像の中の峰集落の風景が現実世界とマッチしていく感覚は感動そのものだった。(上手く口では説明できない感情だ...)


峰ジイはちょくちょく謎のギャグを挟んでくるお笑い担当だった。

「熊が出たときは木の棒で戦う!」とか言ってエア素振りを披露してくれたりする。

ムーディは「あたしはもう帰るよ」を100回くらい横で唱えている。

最後に3人の老人は聞いたことがない情報を教えてくれた。

ノーマルバア「あんたら、怖くなかった?」

我々「全然怖くなかったですよ。」

ノーマルバア「十数年ほど前か、、。当時峰集落に住んでいた住民の一人がひょっこりここに帰ってきて、山登って故郷の峰に行っちまったんだ、、。そんで自分の生まれ育った家で自殺しちまったんだ。」(練炭自殺だったらしい。家はまだ倒壊していなかった時代)


驚いた。ネットに書かれていないとてつもない情報を知れた。しかし不思議と恐怖心がわくことはなかった。悲しい話のはずなのに何故か美しく感じてしまった。死に場所を故郷である峰にするなんて、、どれだけ愛おしい楽園だったのか。


ネットによく書かれている心霊情報がバカバカしく思えた。

今日峰集落は逆に我々を歓迎してくれたのではないか、、と本気で考えてしまった。クサイ感想だが本当にそう思えたのだ。


自殺の話をノーマルバアがし始めた瞬間、峰ジイが無言で両手を耳に当て始めたのが今でもめちゃくちゃジワる笑 怪談系の話は弱いタイプなのか、、もう大好きだ。一家に一台欲しいおじいさんだ笑


3人の老人と別れ駅に向かう。途中ですれ違ったお婆さんにもインタビューをしたが、聞き出せた情報をほとんど同じものだった。自殺の話はどうやら本当だったらしい。



最高の旅ができた。さらば峰集落。



余談

駅前に小さな蕎麦屋があった。閉まっていたが外にいる我々をみて、臨時開店してくれたのだ!

美味い蕎麦だけでなく、焼き魚やお菓子まで出してくれた。我々は親切にしてくれたそのおばさんを峰女将と名付けた。最後の最後まで気持ちのいい旅で良かった。


次回は久々の敗戦回 「暗黒の湿地帯に眠る握津集落」と「久地の廃アパート」をダブルでお届けする!

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