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奥田ゾンダーランド

就活ディストピア


受けた会社はたったの4つだ!


1つ目

アニメ関連のクリエイター系の会社。

創作に興味のある私はアリだと思い受けに行くも、目の大きい萌え娘のマスコットを量産する会社で周りはそちら系の雰囲気の方でいっぱい。説明会の終わりにおみくじを引かされ当たりが出た方は最終面接をいきなり受けれられるといった感じのわけわからん会社であり、エントリーシートも出さずに記憶の闇に葬り去ってやった。

説明会よりも帰りに会社の近くにあったサボテン屋さんでサボテンをひたすら眺めている時間の方が長かったな。


二つ目

偽HONDA


T-塚田と一緒に春に行った変な合同説明会に参戦し、そこで軽く企業説明を聞いていたため受けてやった。ここはHONDAはHONDAだがHONDAの子会社でBtoBの会社だ。まずこんな合説にブース構えてる時点でサイバイマン企業だということがわかった。

このレベルなら頑張れば内定取れるかもしれん。取れてしまえば「俺?HONDAに決まったわ」と一応嘘にならない謎の名誉を手にすることができると考えた当時の阿呆な私は本気で受けることにした。(基本周りの目を気にせずブレない自分も当時は変に焦っていたのだ。)


就活達人でもある兄が偽造エントリーシートを発行してくれたため、余裕でパスした。そしてここからが本番。化けの皮が剥がれないように面接対策を兄がしてくれて準備万端。


人生初の面接へ。

扉を開けると昆布みたいな中年と、社長的な大物オーラを醸し出している腐った田原総一郎的なじいさんの二体が待っていた。


昆布みたいなのがガンガン語りかけてくる。

仮面を被った丸暗記ゲーの面接なんて自分には無理だった。

教えられた通りのことを言おうとするも

「わ、わたひは放送研究会というサークルに所属しておりまして、渉外活動うんにゃら渉外渉外あ障害者」という感じにメダパニ錯乱状態になり、途中で自分から何を話しているのかすらわけわからんチンポな窮地に陥った。

昆布「資格は何を持ってますか?」

僕「温泉ソムリエです」

昆布「それただの趣味ですね」

僕「はは。趣味ですね。(ざけんじゃねええぞ!!ソムリエを馬鹿にしやがって海藻があ!)」

中々に不快なやり取りが続き

昆布「なぜあなたは総務課を志望したのですか?」

瀕死の僕「色々私は役に立つからです。(あ...死んだこれ...」

昆布は最後に「あなたから質問はありますか?」

僕(いや、、諦めてはダメだ!兄が話してくれた少し緊張がほぐれる質問をこちらからしてポイントを稼ごう)「貴社の食堂はおいしいですか?」

昆布「まあ普通においしいですね」(真顔) 「それではお帰りください」


死人を見るような目で見送りやがって!

貴社と御社がごっちゃになってしまう社会不適合ピングー村村長は亡霊のように神羅ビルを後にした。


「やはりHONDA、、強し!そして隣にいて終始何も喋らなかった偽田原総一郎、、お前は一体何者だ!!!」


その会社の近くに温泉があったので温泉仲間の小田急マスターを召喚した。

前日に面接が終わる時間帯にHONDAの最寄り駅に来るように要請していたのだ。(この時点で俺はもうダメだったのかもしれない)


そしてここで

小田急マスター「お前、、それ女性用就活バック、、、」


あ.....

3つ目 べねっせ

この頃になり、ゼミの友人の紹介で就活困難社会不適合者保護センターみたいなとこに送られた。

そこの担当者の人はシンプルにいい人だったのだが、

担当者「好きなことや特技は?」

僕「(うーん色々あるけどとりあえずさっきまでやってた)フィギュアスケート選手である町田樹のジャンプ成功率などを導き出してました。」

担当者「面白いですね。そんなあなたには介護職をおすすめします。」

僕「ハっ????」


ベネッセを無理やり受けさせられることになった。大手企業ベネッセ=勉強系の会社なのだが、実は事業を拡大しており介護にも手を出していたのだ!ベネッセはエリート社員ばかりだが介護ベネッセの方は就活困難者のみたいな位置付けでもある。(本当に介護がやりたくてここを受ける人もいるので沼だなんて中々に失礼な表現だ。しかし、説明会で見た連中はとても介護が好きそうには感じられなかったのだ!)


しかし2つ目のHONDAのように介護ベネッセでも受かってしまえば一応ベネッセ社員ということになり、鼻が高く、、的な考えをまた起こし自分を鼓舞して説明会に足を運ぶ!


説明会では介護の素晴らしさを伝える謎の感動系ジジババ孫ドラマをみせられる。

「お、、おお、、まあ感動的で老人は素晴らしいが、、」

なんだか説明会ではなく某カルト教団の布教活動のような雰囲気だった。


そしていざ最終面接へ!

エントリーシートが存在しなくて、誰でも最終面接から始められるという採用までの道のりが西武西武園線レベルに短い穴場だったのだ!(その分やばいブラック会社なのだなと冷や汗が凄まじかった)


糠漬けおばさん登場

怪しい年金事務所の相談コーナーみたいなとこで面接が行われた。

糠漬け「うふふ、、あなたは今人生のここにいます。さあこの5枚のカードの中から一つお選びください。」と面接?中に怪しいアイテムをたくさん出してくる。

カードには「やりがい」「愛」「成長」などと安いワードがたくさん。意味不明なカードターンが終わりいよいよ面接的なのが始まる。

僕「廃墟の昔の姿を知る年寄りはまさに人類の宝です」と自分の経験から老人の素晴らしさを語っていく。嘘や綺麗事を暗記しているのではなく、本心で糠漬け面接おばさんとやり合ってる!


(あれ?今日の俺決まってね?)

と心の中で浮かれ始めた。

糠漬け「お金は何に使いますか?」

僕「そうですね。石を買います」(本格的に石を買い始めたのは一年後くらいからだがこの時もストレスで石をかなり買っていた)

糠漬け「服とかには興味ないんですか?」

僕「人間は服装だけで決まる生き物ではないので。どう生きるかが大切なのです」


(勝ったな。ああ。)

そして面接は終わった。これは決まったな。しかし介護かああ。なんて思ってた1週間後

「残念ながら貴意に添えない...採用を見送らせて頂き...うにょうにょ」

なにいいいいいい!!!!!落ちただとおお!?

俺はウルトラクレイジー社会不適合者ディメンションだというのか!!



4つ目 怪しい電化製品販売会社キュウリ (名誉毀損にならないように会社名は少し変えました。)


再び初回不適合保護センターに舞い戻され、今度は電化製品販売会社きゅうりというとこを無理やり受けさせられる。


なんとそこは、、説明会が終わった後そのまま最終面接が受けられるというベネッセ以上にブラック臭が強く、めちゃくちゃ内定が取りやすい腐れ企業であったのだ!


ええい!受けたくないがとりあえずやっちまえ!と当日を迎える。



季節は夏!説明会の概要欄で「当日は涼しい格好でお越しください」と書かれていたので半袖ワイシャツで会社に向かう。

すると会場に入るとみんな真っ黒スーツ!!

はあ!?話が違うじゃねえか!!

だって涼しい格好で来いってゴニョゴニョ...


一人半袖白ワイシャツを着た男の浮きようは凄まじいものだった。黒黒黒黒白黒黒黒とオセロでの負け確パターンの図がへぼいホールに完成した。おまけにこの日髭を生やした状態で来てしまったのだ。

前日に剃るはずだったが、うーん朝剃れば良いか!という先延ばし精神を働かせてしまい結果朝はバタバタでヒゲ剃る時間は無いまま会場に向かってしまったのだ。まあ麻原彰晃レベルに生えてるわけではないから許容範囲だろうと自分に言い聞かせてはいたが、一人だけ就活ルールガン無視ファッションで来たことでダブルパンチを喰らうハメになった。


周りの就活生から漂う堕落感もこれまた凄い。心の迷い、妥協、敗北が渦めく沼みたいなとこに入った気分だ。今思えばカッコーの巣の上での精神病患者に囲まれている気分だ。


説明会では早速インチキ臭いPVをみせられる。「僕らは感動エージェントになれます。お客様に商品を売る感動を皆に知ってもらいたいのです!」

入社すると東京中のコジマやノジマなどの店舗に派遣されてこき使われる会社だということがわかった。あと会社内にサークルがあるっぽい。


説明会の直後面接ターンに入る。

面接患はタケノコみたいな若者だ。自分以外にもう一人一緒に面接を受ける学生がいた。SASUKE完全制覇者森本裕介(サスケ君)にそっくりだった。


面接は進む。

タケノコ「本社の魅力はどこだと思いました?」

僕「サークルがあって楽しそうだと思いました。(あっ...やっちまった。でもそれ以外何もないし。。)

タケノコ「ゼミナールでは何を学びましたか」

僕「歴史学を学び、数々の文献を読み解くことで浮かび上がってくる真実に面白みを感じ...」

タケノコ「それうちの会社とは関係ないですよね」


関係あってたまるかバカ野郎!!

これだから就活という名の仮面舞踏会は、、

と心の中で不満を炸裂させているといつのまにか面接は終わっていた。あまり覚えてはいないが残念なサスケ君は教科書通りの受け答えをきっちりしていた。


手応えは全然なかったが、こんなチンケな企業だ。猿の手も借りたいブラック企業なんだからとりま内定は確定したろ。

そんな気分で面接部屋を出て帰路へ。残念なサスケ君と共にエレベーターに乗り1階へ。

エレベーターの中で残念なサスケ君がボソッと「...人生。大変ですね。」

僕「えぇ。その通りです」

そしてサスケ君と別れ、気分転換に中野方面まで歩く。

20分後サスケ君とのこのやりとりがどこかツボって新宿の西側でゲラゲラ笑っていた半袖髭面就活マンであった。


8月の暮れに結果が届いたが株式会社きゅうりからではなく社会不適合センターの担当者からの連絡になった。

「きゅうりさんから先ほど連絡がありましたが残念ながら内定を見送る結果となりました。しかしなんときゅうりさんはもう一度面接のチャンスをくれるらしいので、もう一度頑張りましょう!」


はああああ!!?猿以下なのか俺は!!

しかももう一度面接のチャンスってどんな会社だよ!もうこれはダークサイド企業だろ。。

敗因は服装、そして指の動きが気になったらしい。無意識に指ドラム(たまに高速で指をトコトコトコトコ!って机や膝にやる癖がある)

を発動していたのか!?

その他受け答えもイマイチだったので担当者の方と一緒に練習して、再戦をしようとのこと。

リベンジなんて誰がするかあ!!


挑み、そして見事に八つ裂きにされたほんの短い就活期であった。(この後も色々ちまちまあったが結局白紙だ)

22年という長い付き合いになる自分には嘘をつけない性格だ。焦って内定を掴んだところでほんの一時的な安堵感しか味わえず必ずボロが出てしまうだろう。

肩身は狭いし、周りにも迷惑はかけるだろうがもう少しだけマイペースに人生を歩ませてほしい。

てなわけで、私はこの夏に大きな嘘をついた。

社会不適合センターにて「某超大物出版社から内定を頂きました。きゅうりは辞退します。今までありがとうございました。」

担当者「お、、おめでとうございます。。」(絶対嘘だろ貴様!!)


久々に気持ちのいい帰り道であった。

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