バンドレビュー No.7 ROYAL HUNT 後編
- 奥田ゾンダーランド
- 5 日前
- 読了時間: 13分
前回の続きです。
12th A Life to Die for 66点 2013年

前作の延長線上にあるが、更にプログレッシブになり、少し暗くなった印象がある。名曲と空気曲の差が大きく前作に比べると出来は少し悪く「惜しい」という感想が第一に来る。メタルというよりはメロディックハードロック寄りになってきた。また今作では初めて本格的なオーケストラを使っているためネオクラシカルの王がシンフォニックにリンクするという芸術メタラー注目の作品ではある。
おすすめは2、3、4、5、6、7
1. Hell Comes Down from Heaven
2. A Bullet's Tale
3. Running Out of Tears
4. One Minute Left to Live
5. Sign of Yesterday
6. Won't Trust, Won't Fear, Won'Beg
7. A Life to Die For
レビュー
良くもなく悪くもないミドル曲。オーケストラを使った壮大なサウンドは良いが全体的に地味で10分近くあるため中々に苦痛。
なぜコンパクトに収められなかったのか。。
アルバムの冒頭にこれが来てしまうため出鼻を挫かれ、全体に悪印象をもたらしている。今作の戦犯曲とも言える。
歌詞
地獄が天から降りてくる時 毎日果てしない劇が上演される 神よ、俺の目を覗き込みまた嘘をつくのか? 俺が死ぬ日に泣いてくれるのか?
レビュー
本作の神曲第一号。オーケストラと女性ヴォーカルから始まる美しいイントロで一気に世界に引き込まれる。そこから徐々に盛り上がっていきサビで力強い哀愁を爆発させた時には聴いてるこちらもガッツポーズものだ。
ネオクラシンフォニックパワーゴシックとありとあらゆるジャンルを綺麗に1つの曲にまとめられるロイヤルハントのポテンシャルを見せつけられる。
歌詞
常々選ばれし者になることを夢見ていたが俺のように何千という者はこの銃から創造された 拍手も見返りも旅へさあ行くぞ
レビュー
ポップス寄りのミドル曲。キャッチーで明るいのは結構なのだがアルバムの世界観を意味不明なものにしているためこいつも中々に戦犯曲。たまにロイヤルハントがやらかす缶コーヒーのCM的な曲だ笑
歌詞
破られた嘘について離したくはない この日々は全て後悔を募らせるために費やした 涙も希望全て使い果たした
レビュー
今作神曲第二弾のネオクラアップテンポ曲だ。危機迫るようなオーケストラから始まるイントロからカッコいい。全体の歌メロの流れもスムーズで良く、サビメロはキャッチーでありながらも哀愁も感じさせる素晴らしい出来だ。ギターソロも決まってて隙なし曲だ。
歌詞
あと1分しか生きられなかったらどこに行く?
これまで自分が行って来たこと、そして言ったことを全て悔いるのか?そんなことをして何がわかる?
レビュー
本作のハイライトとも言える神曲第3弾。美しいピアノのイントロを聴いた瞬間名曲だと確信する。キャッチーで哀愁のあるメインメロディが最大の武器でこの旋律を思いついた時点で勝ちだなといった感じ。極上のミドル曲を堪能することができる。
歌詞
理由もなくさよならも言わない ただ立ち去るだけ それは過去の印だと思っている
空では太陽が燃え盛り ありとあらゆる過去の印を消していく
レビュー
地味なタイプのスロー曲だが歌メロの繋げ方がDCクーパー特有のものがありこれはこれでありだと思える曲。壮大な世界観と歌メロに注目して聴くとそこそこ楽しめるはずだ!
歌詞
戦いが終わる時はお前が死んだ時であって、負かされた時ではない
勝利を掴めない人間というのはもう引き返せないところまで来てやめるやつさ
レビュー
地味ミドル曲。悪くはないが全く記憶に残らない悲しい曲だ。2時間くらいで急いで作ったようなクオリティに感じてまう。。これも戦犯曲の一つだろう。
歌詞
目を瞑って「じきにあそこに辿り着くさ」と言ったことが何度ある?してはいけないのに一晩中、一晩中 月に向かって吠えたことが何度ある?
13th Devils Dozen 47点 2015年

アンドレアンダーセンのやる気が消え一時は解散の危機にあったがまたこうして復活してくれた。今作は屋根裏で見つかった前の住居人の手紙や日記を読み、自分の人生と照らし合わせていくというコンセプトアルバムとなっている。
基本的な流れはD.Cクーパー復帰後のここ数作と同じだが、更に印象が薄くなってしまった今作。良い曲もあるが全体的にパワー不足でダレてしまう。ネオクラシカル色も薄れ、迷走している感も否めない。作品を出すたびにマンネリ化が進行していってるのが気になる。。
おすすめの曲2、5
1 .So Right So Wrong
2 .May You Never (Walk Alone)
3 .Heart On a Platter
4 .A Tear In the Rain
5 .Until the Day
6 .Riches To Rags
7 .Way Too Late
レビュー
マックのポテトみたいな旋律から始まる。 面白みのない無難ミドル曲で7分もある為中々に苦痛である。せめて4分くらいの曲にしてほしかった。。軽快な曲調なのは結構だが歌メロも記憶にも残らない、、
レビュー
ロイヤルハント本領発揮曲。勢いあるアップテンポのシンフォニックネオクラシカル曲だ。特に進化とかは感じられないが我らファンが待ち望んでいたタイプの質の高い曲である。イントロとBメロが好み。
レビュー
ダンディーで渋さ溢れるミドル曲。ダラダラした雰囲気が結構好きで良曲だと思うがコンセプトがよくわらかない。。DCクーパーの声がなんか疲れているようにも聴こえる。
レビュー
かっこいいタイプのアップテンポ曲だがこれもインパクトあるはずの曲なのに全く記憶に残らない。。マンネリという字が真っ先に頭に浮かんでしまうまずい曲だ。
レビュー
本作のハイライトと言える名曲パワーバラード。ベテランの意地を感じさせる高品質トラックでありサビの歌メロが輝いている。
ロイヤルハントの5曲目神話(毎回5曲目のクオリティがやけに高い)を貫いてくれて良かった。
レビュー
民族的なドラミングと笛から始まる実験作。
クーパーの歌が入った瞬間いつものロイヤルハントになりそれなりに聴ける曲だが本作のコンセプトをわけわからなくさせる謎曲でもある。マンネリ打破を試みるも思いっきり空振ったような印象だ。
レビュー
消化試合臭が凄まじい空気ミドル曲。やべえあと1曲作らなきゃ、というノリで作られたような曲で今作のメロディをいくつか拝借したのをツギハギにした感がして手抜きだし記憶に残らない。
最近のロイハンは最初と最後の曲が弱いのが残念だ。
14th Cast in Stone 60点 2018年

あまり話題にもされずサラッとリリースされた感じの14枚目のアルバム。アウトテイク集っぽいだとかマンネリの極みだとか結構ネガティブな意見が目立つ今作だが個人的には前作より好きで良作だと思う。
進化の「し」の字もなく過去の焼き回し感はたしかにあるが、どの曲も一定のラインを超えてきて納得がいかない曲は一つくらいで済んだため全然聴ける作品だ。支離滅裂で駄曲がいくつもあった前作より、ロイヤルハントの世界に浸れる安定感重視の今作の方が断然良しと思える。個性がありベテランだからこそ許される作品と言いたい。
1. Fistful Of Misery
2. The Last Soul Alive
3. Sacrifice
4. The Wishing Well
5. Cast In Stone
6. A Million Ways To Die
7. Rest In Peace
8. Save Me II
レビュー
ギターリフが癖になる地味ながらも好みなミドル曲。目立つ曲ではなく騒ぐほどのクオリティではないがギターと安定のロイハン節がうまく融合し良曲に仕上がった感じだ。アルバムの序盤がダレがちな彼らだが今回ばかりは健闘したと言えよう。
賛否両論だが超久々の疾走曲でマンネリも打破してくれているので好きなナンバー。レインボーを彷彿とさせる古き良きストレートなハードロックに所々アンドレ特有の調味料がかかっている。普段はあたり目立たないギターリフも活躍するのが聴きどころ。デジタル音のキーボードソロもかっこいい。
リゾート地のようなアコギイントロから始まるパッとしないヘヴィ寄りの曲。サビの歌メロなどはそこそこ良いが過去作の名メロから拝借してる感があり新鮮味なしの支離滅裂残念ソングだ。間奏部分だけは彼らの良さが出ていて評価できる。
アグレッシブなイントロだが安定のロイヤルハントミドル曲。ネオクラシカル色のあるBメロが輝いているだけにサビの歌メロに物足りなさを感じてしまう。あと間奏部分が尺稼ぎとしか言えないほどグダグダなのも気になる。全体的にこう薄味だが彼らの力は発揮できている悪くはない曲だ。
ネオクラ色MAXの最高の疾走インスト曲。とにかくかっこいい!そして彼らの持ち味でもある近世ヨーロッパ風王国色が大洪水の如く溢れ出ているのでとにかく爽快。今作で1番パンチのある曲がこのインストとなる笑
貫禄あるヘヴィでスロー気味の曲。
パワー不足ではあるが渋さあるギターソロやベテランの余裕というものを見せつけるような爽快なBメロが魅力で聴きどころは意外と多い。
ラストはアップテンポ曲。ネオクラ色が混じったAメロが非常にかっこいい。サビが少し弱いが安定のクオリティと言ったところ。ギターソロも決まってる。ここ最近のロイハンの作品はアルバムラストに雑魚曲が来る傾向にあったが久々に頑張ったと言えるトラックだ。
15th Dystopia 76点 2020年

Inception F451
Burn
The Art of Dying
I Used to Walk Alone
The Eye of Oblivion
Hound of the Damned
The Missing Page (Intermission I)
Black Butterflies
Snake Eyes
Midway (Intermission II)
まさに全時代の強みを混ぜた集大成ともいえる作品でマイク・ボウルズなどの歴代名ヴォーカリストがゲスト参加している。ここ2作は中途半端な楽曲が多かったが過去一ひとつひとつの楽曲の存在感が強い作品となっている。レイ・ブラッドベリの小説「華氏451」をテーマしている割には世界観が掴みにくいところが難点だが衰え知らず彼らには脱帽だ。
レビュー
壮大なインスト。オープニングということもあり良くもなく悪くもなくといった感じ。
ちょいとくどく感じたので1分ほど削ってほしかった。
レビュー
ギターが前面に出たアップテンポ曲でキーボードは控えめ。リフはかっこいいが無難でこれといった聴きどころが無い印象。ロイヤルハントの序盤曲は勢いは良いが詰めが甘い曲がくる。
レビュー
スローでヘヴィな曲だがこのタイプの曲でリスナーを魅了できたのが凄い。焼き回し感はないがロイヤルハントの個性も守れているところが良い。特にAメロがお洒落で釘付けにされてしまう。ラストはアルバム盤だと疾走パートが入っていて展開的には面白いが少し長くも感じてしまうのが残念。
レビュー
女性ヴォーカルを起用した名バラードで映画の主題歌にも起用されそうな完成度。日本のヒット曲か?と思ってしまうロイハンらしからぬイントロのピアノには驚かされたがすぐにアンドレの旋律に変わり安心。Aメロ、サビ、中盤の展開とどこを取っても隙がない歌メロに注目。
レビュー
アグレッシブなアップテンポナンバー。
破壊力のあるサビも良いがその後のクーパーの魅力が詰まったCメロが個人的にハイライト。ネオクラ色のある間奏やソロもグッドだ。
レビュー
スローテンポの曲でこれは駄曲枠だ。ミッション時代を思い出す強いデジタル色とたまにロイハンがやらかすおちゃらけたのノリが特徴。とにかくグダッてしまう。サビだけは彼ららしさがあって安心して聴ける。
レビュー
インスト曲でX JAPANのライヴが始まりそうな雰囲気のオーケストラのみのトラック。かっこいい。
レビュー
壮大でパワーのある曲で12th〜14th時代の流れを汲んでいる。間奏のピアノなどのドラマチックなパートは12th、壮大なシンフォニック要素は13th、目立たないものの曲の流れを崩さない歌メロは14thを彷彿とさせる。
電子音を使ったAメロや泣きのギターが炸裂する間奏も哀愁があり全体的に悪いところが見当たらない力作である!
レビュー
終盤にこのパワーバラード。アコギのイントロの時点で名曲と察する。情感溢れるサビが特に好みだ。8thのSeason’s Chengeに似たメロだが完全にこちらが上位互換。ベルブロックの歌声も初期の頃に比べて綺麗になっているためマッチしていてナイスだ。
レビュー
ラストは短いインスト曲。パラドックスを思い出させるアコギとオーケストラが美しい。
2部への続きを期待させるサウンドだ。
16th Dystopia part2 2022

前回の続編となる16thアルバム。
ロイヤルハントにしては珍しくオープニングナンバーからかましてくれたり、14分越えの大長編曲に挑んだりと普段と違う所でポイントを稼げたのが良かった点である。悪かった点は前作の迫力が凄かっただけにそれ以外の曲がどれも中途半端に感じてしまったところだ。無難なミドル曲などはどうしても前作の下位互換になっているため潔く実験曲をもっと取り入れて個性派アルバムにしてしまった方が良かった気もする。
今回も前回とほぼ変わらない豪華ゲストヴォーカルで溢れているがそんな中メインヴォーカルのD.Cクーパーの歌声が明らかに劣化しているところも目立っていて悲しい。前作が良かっただけに最初聴いた時の印象は良くなかった
前作のラスト曲と全く同じメロから幕を開けるインスト。おしゃれな演出だ。
レビュー
インパクト大のイントロから始まるアップテンポ曲。(FF6 のボス戦の曲に似ている気もするが笑)
ネオクラ度、シンフォニック度、パワーメタル度MAXでわかりやすい歌メロからは貫禄すらも感じさせる集大成名曲。ソロでは8thあたりを彷彿とさせるデジタルな超絶技巧もみせてくれる。
オープニングは大体こけるロイハンだが過去1の掴みと言える。
レビュー
本作やらかし第一弾。スローテンポ曲で渋さを出しているのは良いがフックが無さすぎてイマイチな曲。全てが中途半端でこちらは前曲とは逆のロイヤルハントの悪いところを集めたような内容となってしまっている。変にデジタル音が多いところも意味不明だ。この手の雰囲気の曲をたまに作るので変態紳士枠と呼びたい。
レビュー
安定のミドル曲。リフは個性があり好みだがサビなどが無難で面白みに欠ける。間奏部分のやや明るくなるところなどは良い。冷たさのあるシンフォニック要素、電子的なイントロ、サビ前の劇的なピアノなど全体的に12thに入っていそうな内容だ。
本作やらかし第二弾となるインスト曲である。基本彼らのインスト曲はかっこいいネオクラ節を炸裂させてアルバムを盛り上げてくれるのだが、今回のはただの蛇足である。
全体的に雰囲気は良いが中盤でなんと前作から引用した使い回しメロが登場し、この手抜きっぷりにがっくしだ。最近のロイハンは短いインストを除くと7曲しかアルバムに入れてくれないので、貴重な1枠がこれで潰れたと考えるだけで本作の評価は大きく下がってしまう。こういうのはボートラに入れてくれ。。
レビュー
最近のロイハンらしいストレートなミドル曲。安定した内容でファンも納得できるトラックだがどこかこじんまりとした印象で物足りなさを感じる。劇的で壮大な展開をどこかで入れられれば良曲以上のものになっていただろう。批判されないように防御で固めまくって作った感じの曲だ笑
レビュー
ロイヤルハント史上最も長い14分越えのアップテンポ大曲。ダレるかと思いきや隙はほとんどなくあっという間に聴き通せてしまう文句なしの名曲であった。前作収録の名曲The eyes Oblivionと曲調が似ていて新鮮味は感じないがどのパートもかっこよく決めてくれる。1stの名曲「flight」を思い出させるネオクラリフがある5分超のイントロに丁寧に作り込まれた歌メロと聴きごたえMAXである。
レビュー
最初聴いた時は現代風でホットな曲調に違和感を感じたが聴き返す度に味が出てくるスルメバラード。サビはさすがアンドレと言いたくなるほどの哀愁がある。女性ヴォーカルの使い方もこのディストピアシリーズでマスターした様子だ。
レビュー
最後は短いインスト。やけに明るいのが気になるが最後だからなんでもよし笑 再びPart1に繋がりそうな気配を出しているところは面白い。
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